平成12年に「ストーカー規制法」が施行されて以降、具体的にどのような行為が法に抵触するのかが、世の中に広く周知される事となりました。
最近では令和3年6月、そして同年8月にも一部法改正されましたが、未だストーカー被害の立証は難しく、事件性が低い場合は、警察へ相談しても積極的に動いてもらえないのが現状です。
「ストーカー行為」とは特定の人物やその家族、関係者に対して「つきまとい行為」や「嫌がらせ」を繰り返し行うことを指します。
その多くは、恋愛関係のもつれ、あるいは一方的に好意を持っている人物に対して、自身の感情が満たされないことによる逆恨みや仕返しによるものです。
Check! 以下のようなご経験はありませんか?
✔元交際相手や元配偶者からつきまとわれている
✔自宅や勤務先周辺に偶然を装って現れる
✔立場を利用し高圧的に何度も交際を迫られている
✔帰宅したタイミングで無言電話がかかってくる
✔プレゼントと称して荷物を送りつけられた
✔ポストへ汚物や不審物を投函された
✔SNS上で誹謗中傷された
✔携帯電話にわいせつな画像が送られてきた
ストーカー問題の難しさ
ストーカー問題の難しいところは、加害者側に罪の意識が低いことが多いという点です。
「ストーカー」という言葉は知っていても、「ストーカー規制法」の条項を正しく理解されている方はそれほど多くないように感じます。
例えば、何度交際を断っても自宅近くにまでおしかけて執拗に交際要求をしてくる知人の男性がいたとします。男性がただ積極的にアプローチしているだけのつもりあれば、仮に女性が「ストーカー規制法に抵触しますよ」と伝えても「別に追いかけまわしてる訳ではないでしょ?」となるわけです。
被害者側も相手が同僚や顔見知り、元恋人や元配偶者になると情が湧き、警察や弁護士に相談する事を躊躇い、事態が深刻化することがあります。
その反面、問い詰めるタイミング等を誤ると、加害者が逆上し、被害者側に対して危害を加えるというニ次被害を招く恐れもあります。
ストーカー対策要領
①現状の把握と被害状況の確認
まずは現在起こっている問題を把握し、実際に受けている被害の度合い、それを誰が行っている可能性があるのかなど、現状の整理を行います。
②最終目的を設定する
ストーカー行為を辞めさせるというのは当然ですが、被害が収まればそれでよいという訳ではなく、再発を防止する意味でもご相談者様が望む形での決着を目指します。
③加害者の特定と被害状況の証拠収集
警察を動かすために必要な証拠は、被害を受けているという客観的な物証になります。そしてその加害者を明らかにすることで警察は動かざるを得なくなります。
重要なことは、今すぐに警察に動いてもらう必要は無いと思っても、今後トラブルが起きた際に備えて、事前に証拠を揃えて相談していたという既成事実を作っておくことです。
④弁護士・警察に相談
警察と同時に弁護士にも相談して対策を練ります。加害者に対して損害賠償や精神的苦痛に伴う慰謝料請求を行う事が出来ますし、つきまとい行為と認定されれば、警察から加害者に対して「警告」や「禁止命令」が段階的に発せられます。もし引き続き同様の行為を繰り返す様子が確認され、それが「ストーカー行為」と認定された場合は、段階的な警告などは行わず、直ぐに刑事手続きに進むことができます。
⑤法的措置や刑事告訴の検討または示談による和解
損害賠償や精神的苦痛に対する慰謝料請求を検討し、同時に刑事告訴も考えます。弁護士の見解、また被害者の意向を考慮の上、示談による和解を行う場合もあります。
【男女共同参画局HP参照】
注意点
加害者に損害賠償請求をして慰謝料が支払われたり、刑事告訴をして有罪判決が下ると、一見問題が解決したかのように錯覚しますが、実際には加害者側に遺恨が残っているケースがあります。それは被害者にとってのリスクとなり、生涯つきまとう事にもなりかねません。
状況や加害者のタイプにもよりますが、例えどんなに加害者が憎くても、過度に追い詰める事なく、逃げ道を与え、和解の意向を示す事も時には必要であると考えます。
ストーカー問題に限らず、世の中には逮捕されるリスクや社会的制裁も厭わず、犯行を企てる人間が一定数います。あるいは自己の歪んだ価値観から、罪を犯していることすら無自覚な者もいるかもしれません。不安を煽るつもりはありませんが、「ただのイタズラ」、「偶然」などと軽視せず、警察・弁護士を含め、早い段階でご相談頂く事をお勧めします。
また過去の経験から、調査と並行してご依頼者様、あるいはご家族様に警護を付けた方が良いと思われるケースもございます。そのような場合には、提携する身辺警護会社と連携して対応する事も可能ですので、合わせてご提案させて頂きます。